2月2日の差別・排外デモ参加者による、川崎駅での傷害事件について

2月2日に川崎市で差別・排外デモが行われ、その参加者がデモ終了後に川崎駅のホーム上で、買い物帰りの一般市民を模造刀で切りつける事件が起きました。
被害者がその前に受け取っていた、差別・排外デモに反対するビラを捨てた直後の事で、「(デモに)反対するグループの人間と思った」と話しています。

このような傷害事件が起き、被害者が出てしまった事を憂慮します。
被害に遭われた方には、可能であれば出来る限りの支援を行いたいと思います。

当日は、このデモに対する反対行動を呼び掛け、プラカードの掲示や周知をするフライヤー(ビラ)を配布し、受け取られた方々のうち複数人とも対話をしています。
フライヤーを配布していたのは、ARPだけではありませんが、これまで活動の1つとして、差別・排外デモが行われる際に配布を行ってきました。
その活動の中で、このような痛ましい事件が起きてしまった事を危惧し、同様の事件が2度と起こる事のないように願い、ここに広く呼び掛けします。

デモの主催者は、デモへ模造刀が持ち込まれ、その後に傷害事件が起きた事について、現在まで何ら反省する姿勢を見せていません。
そして加害者の知人であり、西川口~蕨でハーケンクロイツと共に、「ヘイト・スピーチフリータイム」デモを行った主催者は、今回の事件を正当化した上で、当人に向け早期の「戦線復帰」を呼び掛けています。
警察側については、もし銃刀法違反となる行為があったのなら、その場で対応すべきだったと考えます。

当日は、デモの前に日の丸を掲げて君が代を歌い、進軍ラッパを鳴らして出発、旭日旗・Z旗を掲げ、旧日本軍のコスプレをした者を先頭に、外国人に対する排外的なコールを行い、デモに反対する人間を「朝鮮人認定」して、街中を練り歩きました。
そしてそのデモの後、「おまえ日本人か」と叫んで模造刀で切りつける今回の事件が起きています。

彼らのこの姿は、戦前・戦中がどういう時代だったのかを自ら体現し、それが戦後も変わらぬまま続いてきてしまった現実を、そのまま写し出しているように思います。

このデモが行われた川崎市の市長は、3月5日の定例会見の中で、ヘイト・スピーチについて「許されない行為だ」と発言しています。
多文化共生を進める川崎市の市長として、ヘイト・スピーチだけでなく、戦後、日本政府が一貫して行ってきた朝鮮学校への弾圧(差別)政策が今も続いている事、そして学校に対する補助をなくす事が差別である事も認識し、現行の政策を改めるよう望みます。

そして今、ネットや街頭だけでなく、店頭に並ぶ本や雑誌等のメディアでも、「反韓」や「嫌韓」などを煽る偏見に基づいた差別と言える言説が溢れています。
そして同様に、侵略や植民地支配を否定する歴史修正主義の言説も少なからず見られます。

既にこれらの言説は、ネットや街頭で差別・排外主義的発言を繰り返している彼らと、同一線上に位置していると言えるでしょう。

問われているのは、これまで差別政策や差別言動、戦争責任に正面から向き合ってこなかった日本の社会であり、それを是としてきた姿勢や価値観です。
必要なのは、その事に向き合う勇気です。

今回の傷害事件を起こした加害当事者には、事件について心から反省し、2度とデモへの参加をしないよう呼び掛けます。
そして、今まで彼らの集会やデモに参加してきた人達にも、もうこれ以上、差別に加担せず、人間としての尊厳を踏みにじる行為を辞めるよう、呼び掛けます。
その言葉の暴力は、向けられた人の心を深く抉り傷をつけ、癒えない傷として残りつづけます。
そのような行為を自らがしてきた事について、何より重く受け止めて考え、被害者の心に流れる涙と向き合ってください。

全ての人間には侵される事のない、基本的な尊厳と人権があります。
全ての人が人種・民族・国籍等に関わらず、違いを認め共に生きていく社会を。

16日には、在特会が池袋の豊島公会堂で秘密保護法を主題とした集会を行います。
登壇者として、「日韓断交デモ」に関与している維新政党・新風の委員、
新大久保でのヘイト・スピーチデモを行ってきた日侵会代表、
西川口・蕨でのハーケンクロイツ・ナチ党旗デモの主催者が予定されています。
これまで何度も差別・排外デモを行ってきた主要なメンバーが揃う中で、ヘイト・スピーチが行われる事は間違いないでしょう。
そして集会後には、「春のザイトク祭り RETURN」と称して、「日韓断交」を謳うデモを予定しています。

このような差別・排外主義に基づくデモに反対する街頭行動を行います。
今回の事件を踏まえ、今後の活動においては、周知するフライヤー(ビラ)を配布する際に、口頭で注意を呼び掛けつつ、その旨を掲載したものを配布します。
ご都合のつく方はぜひご協力ください。

3.16 差別デモ反対行動 in 池袋

3.16 差別デモ反対行動 in 池袋

今こそ、街頭やネットも含めたあらゆる場所で、差別に反対という声を。
誰もが差別される事のない社会にしていくために。

2014年3月16日
Anti-Racism Project (ARP)

[参考]
傷害:外国人排斥反対と勘違い、模造刀で切りつけ 川崎
http://mainichi.jp/select/news/20140305k0000m040064000c.html

模造刀で切り付け、傷害容疑で無職の男逮捕/川崎
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1403030016/

ヘイトスピーチ「許されない」、福田市長が定例会見で/川崎
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1403050006/

朝鮮学校への補助金 新たに健診などを補助 従来のものは全廃/川崎市
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1402100030/

2.2 差別デモ反対行動 in 川崎

2.2 差別デモ反対行動 in 川崎